「英語はツールに過ぎない」は本当か?

英語の学習に関して、「英語はそれ自体が目的なのではなく、ツールに過ぎない」という意見をよく耳にすることがあります。「だから英語ができるだけでは役には立たない」というわけです。私はこうした意見を聞くたびに疑問に感じます。この意見は正しいのでしょうか。

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もちろん、間違っているとまでは思いません。例えば医師であれば、世界最先端の医学研究の成果を知るためには英語で論文を読む必要があるでしょうから、英語はそれを知るためのツールであって、目的は医学研究ということになります。ビジネスマンであれば、自社の海外進出のためにはどうしても英語が必要で、英語はそれを達成するためのツールということになるでしょう。こうした事例がありますから「英語はツール」という意見は間違ってはいません。

しかし、100パーセント正しいとも言えないと思うのです。つまり、「英語それ自体が目的」というケースも十分あると思うのです。言語は音楽や絵画などと同じく、社会や文化を映す鏡です。社会や文化は、言語という形で具体化されます。言語が文化を運んでくる、ともいえるでしょう。英語を学ぶことを通して、私たちは英語圏の国々の社会、文化、思想などを知ることができます。そして、言語自体もその言語圏の文化の影響を受けていますから、たとえ翻訳されたものに触れたとしても、その文化を真に理解したことにはなりません。よく原書が英語の本の和訳本を読むと、もともとが日本語の本とは表現のしかたが異なっていると感じることはないでしょうか。あれは日本語での発想と英語での発想のしかたが異なっているために生じるものなのです。

バイオリニストにとって、バイオリンは音を奏でるための「ツール」に過ぎないのでしょうか。そうではありません。バイオリン自体が目的になっていて、その結果として、美しい音楽が演奏されるのです。また、IT関連のエンジニアにとっては、コンピュータは単なる「ツール」ではなく、それ自体が目的なのです。こういった人たちがいて今の情報社会は成り立っているわけです。

それと同じで、英語自体が目的、というのも当然あり得ることで、「英語はそれ自体が目的なのではなく、ツールに過ぎない」という意見は正しいとは限らないのです。また「英語ができるだけでは役には立たない」というのも大きな間違いでしょう。英語を学ぶ際には、自分が英語というものをどのように位置付けているのか、どのようにとらえているのか、どういう目的で学ぶことにしたのか、ということを今一度再確認しておくのもよいでしょう。

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